換価分割をした場合の確定申告はだれが行う?

Q:この度、父に相続が発生し、遺産に実家の不動産がありました。
相続人である子供3人で話しあった結果、この不動産は誰も利用しないので売却して3等分しようという事になりました。
「換価分割」という遺産分割の方法で、不動産の名義は便宜上、長男である私の名義として相続登記行い、売却・換価した後のお金を兄弟3人で均等に分けました。
この不動産の売却で売却益が生じましたが、この確定申告は長男である私のみが行えばよいのでしょうか?それとも、兄弟3人が行う必要がありますか?
A:換価分割で売却・換価した場合の譲渡所得税の確定申告は、各相続人が行うことになります。
今回のケースでは、不動産の売却益を兄弟3人が3分の1ずつ申告することになります。
解説:換価分割とは、相続した不動産や有価証券を売却し、そのお金を法定相続分や一定の割合で分配する遺産分割の方法です。
故人名義の不動産や有価証券を売却する場合には、故人の名義のままでは売却することができません。
いったん相続人等の名義に変更し、その後に売却することになります。
この換価分割を行う過程で、売却・換価する手続きの簡便性から、不動産などを各相続人等の共有とせず、代表相続人1人の名義に変更して売却・換価することが多くあります。
この場合の確定申告は、その代表相続人1人(今回のケースでは長男)が行えばよいと考えがちですが、そうではありません。
民法上のモノの流れは、被相続人→長男→売却でも、税務では実態を重視することから、
「各相続人(兄弟3人)が3分の1ずつ相続して、それぞれが売却した。」
と考えて、各人が確定申告を行うことになります。
また、少し専門的になりますが、このように換価分割でいったん不動産を長男1人の名義とした場合でも、税務ではあくまでも3分の1ずつ取得したと考えますので、相続税申告書の「第11表」は、その不動産を各相続人が3分の1ずつ取得したものとして記載を行い、「小規模宅地等の特例」の判断も相続人ごとに判定し、売却に係る譲渡所得の特例(居住用不動産の3,000万円控除など)の判断も相続人ごとに判定します。
なお、譲渡所得の申告は、不動産・有価証券を売却し売却益が発生した場合のみ行えばよく、売却損の場合は確定申告の必要はありません。








