市川市の相続税路線価まとめ! 土地や不動産の相続税評価額はいくら?

市川市は千葉県でも人気のエリアです。

古くからのその土地に住んでいる方が多く、広い土地を所有しているのが特徴です。

市川真間や菅野といった高級住宅地には、中小企業の社長さんが多く住んでいます。

また、北総線大町駅近くの国道464号線は、通称「大町梨街道」と呼ばれて、全国でも有数の梨の産地です。

都心へのアクセスの良さから若いファミリーもたくさん転入しています。

昔からの地主さん、梨農家さん、若いファミリー、一つのエリアにこれだけ多種多様な人が住んでいる自治体はそうありません。

市川市にずっと住んでいたい皆さんが気になるのが相続税です。

「先祖代々の土地を遺したい」、「うちの梨農家は無事に承継できる?」

今回は、当事務所がある市川市の路線価の特徴を解説したいと思います。

1.相続税の路線価地域と倍率地域

相続税の計算をする上で、土地の評価は「路線価方式」「倍率方式」という2つの方法のいずれかで評価します。
これらはどのような違いがあるかというと、市川市に限らず都市を形成する上では、都市計画により「市街化区域」「市街化調整区域」というものに区分されます。
また、これらの区分がない地域を「未線引き区域」といいます。

「市街化区域」とは、建物などをどんどん建築して都市化していく地域です。
土地の利用は主に「宅地」となります。
「市街化調整区域」とは、反対に都市化を抑制していく地域です。
市街化調整区域では、原則として建物を建てることはできません。
よって土地の利用は、農地、原野、空き地、駐車場などになります。

相続税を計算する上では、基本的に路線価は、「市街地」に設定されます。
結果として「市街地」は「路線価方式」で評価します。

反対に路線価が設定されていない地域は、「倍率方式」で計算します。
大野町や大町の農用地区域や堀之内貝塚近隣などは倍率地域に該当します。
これらは、国税庁のホームページで確認することができます。

2.市川市の路線価の特徴

「路線価」とは、国が道路に付した「1m2あたりの単価(千円単位)」を言います。

市川市路線価サンプル(真間2丁目付近)

(単位:千円)

235Dとあるのは、1m2あたり235,000円という意味です。
Dは借地権の割合を示します。

路線価地域にある土地は、どのように相続税評価額を計算するのでしょうか。

路線価地域の評価方法

路線価 × 面積(m2

路線価は、人が集まる駅前や商業地などが高く、閑静な住宅地に入るに従い、だんだんと平準化されて低くなります。

例えば、日本一地価が高い場所は、令和3年現在、銀座の交差点の鳩居堂前で1m2あたりなんと4,592万円ですが、銀座一丁目の京橋公園近くまでいくと1m2あたり200万円程度の単価まで下がります。

市川市の各エリアの路線価は、どれくらいの水準でしょうか。
「住宅地」を前提にご紹介したいと思います。

町名場所路線価(円)
市川南3丁目パークシティ市川前の県道沿い220,000
大洲1丁目大洲防災公園前の県道沿い180,000
市川2丁目市川小学校近隣の住宅地215,000
真間2丁目真間川近隣の住宅地235,000
東菅野2丁目昭和学園近隣の住宅地220,000
中国分4丁目じゅんさい池近隣の住宅地105,000
南大野1丁目こざと南公園近隣の住宅地110,000
富浜3丁目行徳中央公園近隣の住宅地225,000
相之川3丁目南行徳公園近隣の住宅地250,000
日之出南浜公園近くの住宅地205,000

市川市では、駅から近い住宅地は主に20~25万円程度に設定され、駅から遠いバスを利用する住宅地は10万円前後で設定されています。

3.市川市の倍率地域

市川市でも市街化調整区域のエリアはあります。
代表的なのは、大町と大野町1丁目~4丁目の梨農園のエリアですが、他の丁目や地域にも市街化調整区域のエリアはあります。

倍率地域にある土地は、どのように相続税評価額を計算するのでしょうか。

倍率地域の評価方法

固定資産税評価額 × 評価倍率

固定資産税の課税明細書

千葉県市川市 令和3年度 土地の課税明細書

納税通知書番号
所在地番 課税地積(㎡) 区分 固定資産税 負担水準
(%)
固定資産税 課税標準額計 (円)
前年度 本年度 算出税額 (円)
課税標準額(円) 課税標準額(円) 軽減税額 (円)
課税地目 区域 本年度評価額(円) 都市計画税 負担水準
(%)
都市計画税 課税標準額計 (円)
適用 前年度 本年度 算出税額 (円)
課税標準額(円) 課税標準額(円) 軽減税額 (円)
大町
 
45982.20 ××××× ××
調整
57,812
××××× ××
大野町1丁目
 
23567.20 ××××× ××
調整
27,986
××××× ××
原木2丁目
 
1312.00 非住宅 ××××× ××
宅地 調整
非住宅用地 51,994,800
××××× ××

倍率表

実際のやり方としては固定資産税の課税明細書にて「地目」と「固定資産税評価額」を確認して、その固定資産税評価額に国税庁が公表している倍率を乗じて計算します。

基本的に「課税地目」が「宅地以外(田、畑など)」であれば、固定資産税評価額は低く、「宅地」であれば高く設定されています。

大町や大野町の梨農園のエリアは、農業振興地域内の「畑」であれば、1m2あたり約1円程度ととても低い水準で設定されています。
反対に原木2丁目などの「宅地」は、1m2あたり4万円程度と市街化調整区域であっても高い水準にあります。

この場合の「地目」について、「固定資産税地目(又は登記地目)」と「実際の地目」が違う場合には、「実際の地目」により評価します。

空き地や駐車場などで課税地目が「雑種地」となっている場合には、倍率表には、雑種地という欄はありません。
その土地がもっとも類似する地目で評価を行うことになるので、専門的な判断が必要になります。

4.市川市の土地の相続税評価額を下げる方法

(1)土地の相続税評価額が下がるケース

土地は、一つとして同じものはありません。
特に路線価地域では、基本は路線価×面積ですが、個別要因により各種の減額があります。
土地の相続税評価額が下がるケースは主に3つあります。

①土地の形が悪い場合

例えば、間口が狭い、奥行きが長い、形が不整形などです。

②土地に対して他人の権利がある場合

例えば、借地である場合や、反対に貸地である場合、アパートの敷地などのように100%は自分の土地でなく一部に他人の権利がある場合などです。

③土地が広すぎる場合

一定の要件はありますが、税務上の「地積規模の大きな宅地」に該当すれば相続税評価額が相当減額になります。
市川市で言えば、1つの利用の単位が500m2以上の宅地が該当する可能性があります。
ただし、市街化調整区域にある場合や指定容積率が400%以上の場合などは適用はありません。

反対に「路線価×面積」よりも相続税評価額が大きくなる場合とは、その土地が複数の道路に面していて利便性が良い場合のみであるため、基本的に相続税を計算する上での土地の評価は、減額ポイントを発見することが大切になります。

(2)市川市特有の土地事情

①接道義務を満たさない土地

建物を建てる場合、その土地は4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。
市川市は、整備されていない細い道路がたくさんあります。
そもそも路線価が設定されていない道路に面している場合や、通路のような道にしか接していない場合があります。
このような場合は、「セットバックを必要とする宅地」、「無道路地」などに該当し相続税評価額が減額となる可能性があります。
市川市役所で道路状況をよく確認の上、評価しましょう。

②線路近くの土地

線路近くの土地など電車の騒音や振動が著しい場合は、評価額を10%減できる可能性あります。
相続税では、「その土地の利用価値が、付近にある他の宅地に比べて著しく利用価値が低下している」と認められる場合には10%の評価減をしても良いというルールがあります。
JR市川・本八幡の線路沿いや京成線の市川真間・菅野の線路沿いは、この可能性があるので現地調査は必須になります。

この場合の騒音が著しいかどうかは、「環境省の環境基準に定める基準値」を超えているどうかにより判定を行いますが、もともと路線価に織り込まれている場合もあるので、慎重に検討する必要があります。

5.広い土地をお持ちの方は遺産分割に注意!

広い土地をお持ちで、筆数が多い場合は「遺産分割」に注意する必要があります。

なぜなら、相続税を計算する上では土地の評価は、「地目のごと」や「利用の単位」で評価します。
「地目のごと」、「利用の単位」というのは、畑、貸駐車場、アパートの敷地、自宅などをそれぞれ1つの単位として、相続税評価することを意味します。

一方で、遺産分割をするときは、「筆ごと」に誰が取得するかを決めます。
結果として、「利用状況」と「筆」が合っていない場合は、うまくイメージ通りに遺産分割が出来なくなってしまうので、注意が必要です。

この問題を解決するには、土地家屋調査士さんに依頼して分筆などをする必要がありますが、境界確定などに時間を要します。
相続税の申告期限は相続開始の日から10ヶ月以内で、それまでに基本的には、遺産分割協議をまとめる必要がありますので、早めに行動しないと間に合わない可能性があります。

まとめ

いかがだったでしょうか。
当事務所にも不動産や相続税対策のご相談がたくさん来ます。

ただし、「路線価方式」「倍率方式」の計算式を見てわかる通り、路線価や倍率は国が定めますし、固定資産評価額は役所が定め、土地の面積も減らしようがありません。
相続税を計算する上での土地の評価は、外的要因が大きいので魔法のように相続税が消えるという方法はありません。

実際はどのように相続税を減らしているかというと、次のようなことの積み重ねや工夫が必要です。

  • 土地の評価減になるポイントをたくさん発見し積み上げる。
  • 遺産分割で、土地の取得方法や配分方法を工夫する。
  • 「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」を活用する。
  • 新たな優良賃貸不動産を取得する。
  • 低金利時代の今は、融資の活用も有効です。

相続税は、所得税や法人税などを多額に納めてきた人が最後に資産に課税される税金でその負担は確かに大きいと思います。
ただし、きちんと対策をすれば、乗り切れないほど重課ではありません。

ぜひ良い対策をして、次の世代に不動産を遺してもらえればと思います。

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