【 墨田区版】ご家族の死亡後にもらえるお金と手続き一覧
大切なご家族を亡くした後は、現実的には、葬儀費用など多額のお金がかかります。
このように死亡後に出ていくお金がある中で、死亡後に「お金がもらえる制度」があるのをご存じですか。
厳密には、死亡後に「お金がもらえるもの」と「支払ったお金が戻ってくるもの」があります。
これらは、国や自治体に申請すれば受取ることができます。
墨田区に関する主なお手続き先もご紹介します。
1.遺族厚生年金
概要
遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者または受給権者が死亡したときに、その故人によって生計を維持されていた妻や18歳未満の子供、55歳以上の夫、父母などが受給できる遺族年金です。
後述する遺族基礎年金と違い、妻は子がいなくても受給できます。
また、遺族厚生年金と遺族基礎年金は、要件さえ満たせば、両方とも受給することができます。
金額
遺族厚生年金の支給額は、本来受取れたはずだった厚生年金の4分の3となります。
故人の過去の月額給与などを考慮し、総合的な判断によって決められます。
申請方法
「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」によって手続きを行います。
手続き先は、死亡した人が最後に加入していたのが、国民年金か厚生年金かによって異なるので注意が必要です。
故人の最後に加入していた制度が厚生年金 | 勤務先の管轄の年金事務所 |
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故人の最後に加入していた制度が国民年金 | 住所地の管轄の年金事務所 |
年金の受給者が亡くなった場合 | 住所地の管轄の年金事務所 |
死亡日の翌日から5年以内が申請期限です。
年金請求書(記入例)
2.遺族基礎年金
概要
国民年金に加入中の人又は60歳以上65歳未満で以前国民年金に加入していた人又は老齢基礎年金の受給権者が死亡した場合には、その故人によって生計を維持されていた、子のある配偶者または子に支給されます。
また、遺族年金がもらえる期間は、1番下の子が18歳になった年度の3月31日までです。
一家の大黒柱を失った後の、子供が成長するまでもらえる遺族年金ですので、子供のいない方、あるいは子供がすでに成長している方は、遺族基礎年金はもらえません。
金額
遺族基礎年金の給付額は、 「 基本額 + 子供の数による加算 」 となります。
基本額と加算額は年度ごとに改定され、令和2年4月以降は、
基本額 | 78万1,700円 | |
---|---|---|
加算額 | 第1子・第2子 | 各22万4,900円 |
第3子以降 | 各7万5,000円 |
です。
例えば、3人の18歳未満の子供がいるときは、
781,700円 + 224,900円×2人 + 75,000円 = 1,306,500円
となります。
上の子が18歳を迎えるたびに減額して行きます。
申請方法
「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)」によって手続きを行います。
提出先は、故人の住所地の市区町村役場になります。
(墨田区の場合は、墨田区役所の国保年金課国民年金係)
死亡日の翌日から5年以内が申請期限です。
年金請求書(記入例)
3.死亡一時金
概要
死亡一時金は、国民年金保険料を3年以上納めた人が老齢基礎年金・障害基礎年金を受取ることなく亡くなった場合に、その故人と生計を共にしていた遺族(1配偶者、2子、3父母、4孫、5祖父母、6兄弟姉妹の中で優先順位が高い方)が受取ることが出来ます。
基本的に老齢基礎年金を受取る前に亡くなった方が前提なので、故人が65歳未満で亡くなった場合などが該当します。
ただし、死亡一時金は、遺族基礎年金をもらう場合は、支給されません。ただし、死亡一時金は、遺族基礎年金をもらう場合は、支給されません。
通常は、死亡一時金よりも遺族基礎年金の方が、金額が大きいので、遺族基礎年金を選んだ方が良いでしょう。
金額
国民年金保険料を納めていた期間によって変動します。
30年以上35年未満27万円
3年以上15年未満 | 12万円 |
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15年以上20年未満 | 14万5,000円 |
20年以上30年未満 | 17万円 |
25年以上30年未満 | 22万円 |
35年以上 | 32万円 |
申請方法
「国民年金死亡一時金請求書」によって手続きを行います。
提出先は、故人の住所地の市区町村役場になります。
(墨田区の場合は、墨田区役所の国保年金課国民年金係)
死亡日の翌日から2年以内が申請期限です。
国民年金死亡一時金請求書(記入例)
4.労災保険の遺族(補償)年金
概要
労災保険加入者が業務中や通勤中に死亡した場合、死亡当時故人の収入で生計を維持していた遺族が「給付基礎日額」に応じて年金を受取ることが出来ます。
金額
年金額は、受給の要件を満たす遺族の数(遺族数)によって変動します。
1人 | 給付基礎日額の153日分 |
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2人 | 給付基礎日額の201日分 |
3人 | 給付基礎日額の223日分 |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 |
*「給付基礎日額」とは、死亡の日直前の3か月を基準として計算した、1日当たりの給与(日給)といいます。
申請方法
「遺族補償年金支給請求書」によって手続き行います。
提出先は、お勤めだった会社を所轄する労働基準監督署になります。
(墨田区の場合は、向島労働基準監督署)
死亡日の翌日から2年以内が申請期限です。
遺族補償年金支給請求書(記入例)
5.葬祭費・埋葬費の給付金
概要
国民健康保険または健康保険の被保険者が死亡したとき、葬儀を行った遺族に対して、支給されます。
金額
国民健康保険の場合 | 7万円 |
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健康保険の場合 | 5万円 |
申請方法
国民健康保険に加入の場合
市区町村役場の保険年金課が窓口になります。
(墨田区の場合は、墨田区役所の国保年金課こくほ給付係)
手続き書類は、死亡届の提出により、市区町村からご自宅に送付されます。
葬儀の日から2年以内が期限になります。
健康保険に加入の場合
全国健康保険協会(協会けんぽ)の各都道府県支部が窓口になります。
死亡診断書のコピーなどを添付して、「埋葬料支給申請書」を各支部の窓口へ提出します。
死亡日の翌日から2年以内が期限になります。
また、故人のお勤め先が全国健康保険協会でない、他の健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合にお手続きの確認をお願いします。
埋葬料支給申請書(記入例)
6.高額療養費の払い戻し
概要
国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険の加入者の1か月に支払う医療費が高額になった場合に、自己負担限度額を超えて支払った分が払い戻されます。
この自己負担限度額とは、その人の自己負担の上限額のことで、年齢や所得によって決まります。
金額
その人の所得、年齢、外来または入院の種別によって変動します。
申請方法
国民健康保険に加入の場合
市区町村役場の国民健康保険給付係が窓口になります。
(墨田区の場合は、墨田区役所の国保年金課こくほ給付係)
自己負担限度額を超えていた月の3~4か月後に、区から該当する世帯に申請書が送付されますので、その申請書に必要書類を添付して郵送します。
期限は、診療を受けた月の翌月を初日として、2年間です。
健康保険に加入の場合
全国健康保険協会(協会けんぽ)の各都道府県支部が窓口になります。
「高額医療費支給申請書」を各支部の窓口へ提出します。
相続人が請求する場合には、故人との続柄がわかる「戸籍謄本」などが必要です。
また、故人のお勤め先が全国健康保険協会でない、他の健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合にお手続きの確認をお願いします。
期限は、診療を受けた月の翌月を初日として、2年間です。
高額医療費支給申請書(記入例)
7.高額介護サービス費の払い戻し
概要
介護認定を受けた人は、公的介護サービスを1~3割の自己負担で利用できます。
自己負担の額は、1世帯・1ヶ月4万4,400円などの限度額があり、上限を超えた場合、申請を行うことで超過分の払い戻しを受けることができます。
金額
1ヶ月あたりの自己負担額の限度額は、その人の所得などにより変動します。
申請方法
対象となる方は、市区町村役場から申請書が送付されます。
(墨田区の場合は、墨田区役所の国民年金課長寿医療(後期高齢者医療)資格・給付担当)
必要事項を記入・押印の上、申請をお願いします。
申請期限は、該当する月の利用料の支払日から2年間です。
8.墨田区に関する役所手続き一覧
墨田区に関する主な手続き先一覧になります。
役所 | 所在地 | 代表電話番号 |
---|---|---|
墨田区役所 | 墨田区吾妻橋1-23-20 | 03-5608-1111 |
墨田年金事務所 | 墨田区立川3-8-12 | 03-3631-3111 |
向島労働基準監督署 | 墨田区東向島4-33-13 | 03-5630-1033 |
9.受取ったお金の税金の取り扱い、相続税はかかる⁉
これらの受取ったお金には、税金はかかるのでしょうか。
相続税の課税財産になるの? 所得になって毎年確定申告が必要?
などの疑問があるかと思いますので、解説します。
種類 | 税金の取り扱い |
---|---|
遺族厚生年金 | これらの年金・一時金・給付金は所得税・相続税ともに非課税となり課税されることはありません。 |
遺族基礎年金 | |
死亡一時金 | |
労災保険の遺族(給付)年金 | |
葬祭費・埋葬費の給付金 | |
高額療養費の払い戻し | 亡くなられた方の相続財産に該当し、相続税の課税対象となります。 |
高額介護サービス費の払い戻し |
10.まとめ
これまで、ご家族が亡くなった後にお金の受取れる主な制度をご案内しました。
この他にも、どなたかが他界された時に、役に立つ制度は多くあります。
お亡くなりの方が、いつ、どのような事で亡くなったかで、もらえるお金も変わってきます。
その時加入していた、健康保険組合や年金事務所、住所地の市区町村に連絡をして確認するのが、よろしいかと思います。
大切なご家族を失った後でのお手続きなので、お金の申請をすること自体に後ろめたさがある方もいるかもしれません。
しかし、これは残された遺族を支えるための大切な制度です。
最大限に活用して、遺された家族の幸せな生活に役立てましょう。
監修者
税理士法人根本税理士事務所牛居 秀晃(うしい ひであき)
資格の大原税理士講座で相続税法科の講師として5年間、累計500人以上の税理士受験生を指導した実績を持つ。
「分かりやすい言葉による説明」を心掛け、相続を専門に扱う市川支社の創設メンバーとして活躍。