相談時期が遅れてしまい、申告期限に間に合いそうもないケース
相続時の状況
令和2年12月18日に佐藤和子様(母)がお亡くなりになりました。
被相続人:佐藤和子
相続人:長女
申告期限:令和3年10月18日
相談日:令和3年9月25日
主な財産は、ご自宅の不動産と預貯金等で、基礎控除額の3,600万円は超えることが確実であるため、申告期限までに申告と納税を行わなければなりませんが、相談日が申告期限まで約3週間という時期であったため、とても間に合いそうにありません。
申告期限後の申告書提出となった場合は、延滞税や無申告加算税といったペナルティを課されてしまうことがあるため、大変にお困りになった様子で当事務所にご来所されました。
当事務所のご提案
どうして、こんなにも相談のタイミングが遅くなってしまったのかの理由をお伺いしたところ、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、思うように外出ができず、金融機関の残高証明書などの必要書類の準備が思うようにできなかったことに加え、ご家族が新型コロナウイルス感染症に罹患してしまったため、税理士への相談をしたくてもできないまま気が付いたらこんなにも切迫した状況になってしまっていた、ということでした。
そして、その内容から「新型コロナウイルスによる個別の期限延長申請」が認められる案件であると判断し、適正に手続きをすることにより、期限内申告として取り扱われることとなる旨をご案内したうえで、正式にご依頼いただきました。
顛末
急ぎ作業に取り掛かり、すべての申告準備が整ったのが、令和3年12月10日ころでした。そして、適切に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を申告書一式と併せて提出し、後日、税務署から期限延長を認める旨の報告を受けることにより、正式に期限内申告書として取り扱われることが確定し、ご相談者様に安心していただきました。
「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は、然るべき理由がなければ提出することができませんが、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、令和2年4月以降は、「新型コロナウイルスの影響により~」という理由については、原則として個別延長申請が認められることとなりました。
当事務所では、相談者からの事前ヒアリングをしっかりと行った結果、申告期限に間に合わないこととなる主たる理由が新型コロナウイルスの影響によるものと判断できた場合に限り、適切に個別の期限延長手続きを行い、相談者にご安心いただいております。
(注)当事務所の実際の取扱い事例を基づいていますが、文中の名前、日付、金額等はすべて架空のものです。